老人ホームの日々是晴れ、曇り日記

医師の訪問診療に同行する薬剤師です。老人ホームに入る前の準備や日々の頭の中を綴ってます。

友達なんてできるわけないよ

没頭できる趣味、興味があるって本当に羨ましい。

自分の人格が振り切れるほどの趣味に休日を使えるなんていい。それをそのまま施設入所時に持ち込めばよいのだ。時間はたっぷりある。

おひとりさまで生活していく上で大事にしたいのは趣味だと思っている。

ふつうの生活上でも大人になればなるほど友達作りは難しいのに、ましてや施設に入所したら・・・である。自分の問題ではないのだ。周りの認知の程度は様々で、自分をわかってもらう事すら困難である。

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いくつになってもある。恋愛事情。

流石にあからさまな行為まではみた事は無いが、やはりあるのだ。認知症になってもいくつになっても本能が覚えている感情が。

『やはり』と言うのはそれなりの確信があったのだった。

あるニュースが私のホームグラウンドである薬局内で、ヒソヒソと面白おかしくちょっとした話題になった事があった。

‘老人ホームへの性接待斡旋業の女性経営者逮捕’ 

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間取りと共通項

日本の住宅事情と日本人の体格等からするときっと6畳程度でそれなりの日常生活は可能だと思う。

平均的な間取りは有料老人ホームだと10畳そこそこ、グループホームだと6畳そこそこと言ったところ。高級老人ホームはリビングダイニングに洋間か和室、若しくはその両方と行った所もある。いわゆる2LDK仕様。お祖父ちゃんの所に遊びに来た孫が自分ちより快適で泊まっていきたいと言いだす始末もありそうだ。

最近気がついたことがある。どの方の部屋にも同じような白いケースがあるのだ。不思議なことに皆同じような大きさで、同じような形である。

お部屋のゴージャス度合いに関係なく皆が所有するこの白いケースには一体何が入っているのか?

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おひとり様に必要でしょ?

仕事上“超”が付くほどの高級老人ホームから、アパートの様相を呈するグループホームまで関わっている。

あまりの豪華さに興味本位で覗いたホームページ上に並ぶ0の多さに驚愕する。

家1軒〜2軒分の入居金に、年収350万〜400万位の人の手取りがそのまま全額消えていくような月額料。入れるのは日本のごく一部の人間だろう。少々の芸能人でもなかなか手が出ないのでは無かろうか。

エントランスでは優雅なグランドピアノが出迎えの曲を自動で奏で、その先を進むとコンシェルジュが要件を聞いてくれ手筈を整えてくれる。

通行許可が出ると更にその奥には重厚な色調をしたドアを携えた個室が並び、各室の前には個人の表札といったふうの金色プレートに印字された苗字が堂々と構えられている。

その下にはガラス張りのスペースまであるもんだから、ちょうどコレクションケースのような役割をしているようで、バラの花を飾っている人、プラモデルを置いている人、絵を飾っている人など様々であり、顔を見ずともその趣味趣向が垣間見れる。“假屋崎”  (バラの花)  “長嶋” (バットとボールのミニチュア)っといった感じだ。

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人間の終の住処になるか。

週に2〜3回老人ホーム(施設)に出入りしているとだんだんと色々な物が見え、聞こえ、思うようになってきました。

 

***実に60代くらいから100歳を超える人までが同居している老人ホーム。

一口にホームと言っても有料老人ホーム、グループホーム特別養護老人ホーム老人保健施設サービス付き高齢者向け住宅…関わった事がない人にとっては何が何だかわからないと言ったところ。大まかに言うと受けられるサービスの違いと本人の自立の程度によって適切な施設が決まってくる。

私は現在老人保健施設以外は携わっているが、行う仕事の区別はほぼ無い。

先日あるグループホームの女性3人がテーブルを囲んで真剣に話し込んでいるのが聞こえてきた。ここはグループホームなので皆それなりの認知症患者さんの集まりである。

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